跳ねる柑橘の段ボール箱

柑橘系アラサー男子が、思うところを書くところ

【雑記】大統領選を見て

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こんばんは、跳ねる柑橘です。

2016年11月9日、つまりアメリカ合衆国の大統領選挙があった日の深夜に書いています。

結果はご存知の通り、共和党候補のドナルド・トランプ氏の勝利でした。

世界中が衝撃を受けたこの選挙、

ジャーナリストでも政治部記者でもない私ですが、

一応政治系の学位をとっているので、厚かましくも雑記を書いてみます。

お手柔らかに、よろしくお願いします。

 
(目次)

 

 
 

まさか

でしたね。

あの暴言方言問題噴出のトランプ氏が!

多くの人が、共和党候補への立候補、指名のたびに、

「そのうち消えるよー」

と思っていたことでしょう。

私も、共和党候補に指名されるまではそういう風に考えていました。

だんだん

「あれ…これ下手すると…いや、でもねえ」

と思いはじめ、Brexitとともに

「あれー…もしかすると…」

と可能性(危険性?)を感じ始めていました。

それでも、どこかで

「なんだかんだフタを開ければヒラリーでしょー」

と思っていたのも事実です。

 

しかしフロリダ、オハイオノースカロライナと続き、

終盤にペンシルベニアもトランプが勝利したのは本当に驚きました。

 

さて、両者が接戦を繰り広げ、

段々トランプ氏が優勢となった頃、

市況が大混乱を起こしたのはなんかわかりますが、

午後になって、トランプ当確っぽい、となった頃に

「日銀と政府が緊急会合へ」

と速報が出た時は、

日本政府がテンパってる!とびっくりし、

カナダの移民局?のサーバーがダウン?

という話が出た時は、なんか噴き出してしまいました。

 

TwitterのTLは一言で表すとカオス

Facebookも、米国人や米国在住の友人を筆頭に、

なんてこった!というようなShareやPostばかりに。

 

Brexitのイギリスに続いて、

民主主義への嘆きや、

アングロ・サクソンの国はバカだった
というようなのも見ました。苦笑

 

しかし、過去最悪の大統領選とも言われるくらいだった今回の選挙。

ヒラリー氏も大統領の資格を疑問視されていましたし、

「既存の政治家と変わらないじゃないか!」

という失望はあったのではないでしょうか。
 
また、郡とかのレベルで見ると、

保守的な郊外の郡での得票率がトランプ氏は高く、

一方で主要都市がある郡や、

研究施設や大学の主要キャンパスが位置するようなところでは

ヒラリー氏の得票率が高かったです。

主要都市で勝ち切れなかったところも

ヒラリー氏の敗因かも知れませんが、

大きな、基本的な構造はそこまで変わっていなかったということです。

しかし、何かがこれまでとは違っていた。

 

何が起きたのか-弱者が弱者を踏み、強者に噛み付いた勝利

今回のアメリカ大統領選は、

弱者がより弱い者を犠牲に強者に勝利した選挙

でした。

「大学に行けなかった/中退した/学位授与されていない、中高年の白人男性」

に代表される弱者が、

「大卒、エリート」という強者への対抗としてトランプを支持し、

「女性・障がい者・黒人・ヒスパニック系・アジア系・イスラム教徒・移民」といった、

(残念ながら存在する)階層的に更に弱い立場の人たち…マイノリティとも言われますね、

彼らを犠牲にした上で、強者に勝利した構図です。

しかし、この弱者とされる、

大学に行ってない、中退した、学位授与のない白人中高年男性というのは、

アメリカの経済社会を支える中産階級です。

かなりの数がいる。それがトランプ氏支持に回ったのです。

しかし彼らが、

グローバル化(移民の流入で仕事を奪われる)と、

格差拡大(富める強者に富が集まり中産階級が貧しくなる)により、

生活が苦しくなった。

不満が相当積もっていて、それがトランプ支持という形で噴出したのです。

 

そして、そのことを民主党支持の知識人・有識者
共和党支持者、そして両系統のマスメディアも思いもしなかった。
またはそうした不満の存在は認識していても、
これ程のエネルギーとは思っていなかったのだと思います。

 

この構図は、Brexitと恐ろしく似通っています。

「予言者」とされる人類学者エマニュエル・トッド氏の分析は、

もしかしたら当たるのかも…?

 トッド氏は、

アメリカ合衆国社会に、グローバリゼーションへの疲れがあること、

そして国民国家への回帰の兆候を、

Brexitや米国内の動きから感じ取っていました。

 

旧来型の政治家は、今も偉大なアメリカを謳うが、

格差是正はされず、移民は増え続ける。

上からも下からも潰され、現実の問題に苦しむ中産階級の不満を、

トランプ氏が代弁したのです。

 

ヒラリー氏(当選すれば初の女性大統領)は、

オバマ大統領(初の黒人大統領)と、

初モノ(表現すみません)同士ではあったけど、同じように勝利はできなかった。

女性ではあったのですが、

実態は旧来型の政治家だったのと、

政治家に付き物の失態が露呈してしまったのは致命的でした。

オバマ大統領は黒人はもとよりヒスパニック系や女性など、

旧来の政治における弱者、少数者の票を確実にモノにしていましたが、

ヒラリー氏は取り切れなかった。

 

現代では当然のことですが、

旧来の政治世界における弱者は現実の社会においては

多数派ないし重大な規模を持つ集団になっており、

その動向は重要です。

しかし、上でも書いたように、

郊外の人達と都市部の人々vs研究者というような、旧来型の区分も生きています。

つまり、これまでも散々、政治学者や社会学者に言われ続けてきた、

人々のアイデンティティのレイヤーが多層的になっている

このことが、また一層強く示された訳ですね。
 
しかし、トランプ氏がヒスパニック系をはじめとする「マイノリティ層」から

一定の票を獲得していたことは驚きました。
 
また、

黒人大統領の次に女性大統領とかやってられんよ

という意見もあったようです。

その真意はわかりませんが、

そこには「白人男性でなんやかんや…」と

アメリカ合衆国の大統領はかくあるべきというイメージが

根強くあるのかも知れません。
 
女性という点で初モノだったヒラリー氏は、

しかし政治家としては旧来の存在だったため、

人々は、政治家経験の無いという点で初モノであるトランプ氏に、

現在の停滞した社会をぶっ壊すことを期待したのかもしれません。

 

今回の選挙結果から何が言えるのか?

まだ選挙が終わっただけであり、確かなことはなにも言えません。

ただ、トランプ氏と共和党が勝ったことにより、国際社会においては、

地球温暖化のパリ協定からの離脱

・同盟国と駐留米軍、同盟関係の再考

・TPP、NAFTAなどの経済協定の再考

・ロシアと協調:対中東(IS)や対中国

…などが懸念されています。

 

今の時代に鎖国モンロー主義が復活しても、通用しないと思いますが、

トッド氏が言うように「国民国家への回帰」が本当なのだとしたら、

今後、グローバル社会における国民国家のあり方が生まれ、

そこで現代版のモンロー主義がとられてもおかしくありません。

 

また米国内では、
オバマ大統領の政策の転換

最高裁判事共和党指名の者に変わることで中絶や同性婚制度の見直し

・メキシコやイスラム圏からの移民家族が、国外退去などで引き裂かれる

(米国内-メキシコ国境に壁?)

オバマケアの再考

などが考えられます。

トランプ氏の支持者には、トランプ氏の全ての主張を支持していない人も多いでしょう。

それでも彼を支持すること、そして彼が勝利したことで、

「マイノリティ」とされる人達、

特に黒人・ヒスパニック系・アジア系・イスラム教徒・移民・LGBTですね、

は国を追われる、迫害されるのではないかという、

冗談ではない恐怖を感じていると思います。

 

 

私が不安なのは、

政治経験がないトランプ氏が、ブレーンをどうするかや、本人がどう身につけていくかも含めて、

どれくらい政治感覚を得ることができるのか、
ということです。

内政・外交ともいまだ国際社会や多くの国に影響力を持つ米国。

政治のセンス無しに進めてしまうと大変なことになってしまいかねない。

また、9・11や3・11と同等かそれ以上の事件、事故が起きた時、

トランプ政権が適切な対応をとれるのだろうか?
不安があります。
 


日本への影響は?

核武装すればいい

・同盟関係が不平等だ

・米軍基地のある同盟国は費用を全額負担しろ

・TPPは即撤廃

・ロシアと一緒にIS問題、対中に取り組む
 
ぱっと思い出せる、日本に直接影響しそうな話はこのあたり。

軍事とTPPがまずきますね。
 
米軍基地反対派の人で、

「これ(トランプ氏勝利)で米軍基地がなくなる!嬉しい!

という声を見かけましたが、それは非常に誤った見方でしょう。

仮に駐日米軍が全撤退したら、

日本は自前の力で防衛力をいま米軍がいるのと同じくらいまで増強しなければいけません。

北朝鮮、中国、そしてそれらを取り巻く潜在的な危険性として韓国とロシア、

現実的な軍事的視点で見ると、日本の周りには脅威はいっぱいあります。

そのためにバカみたいな税金が必要になります。

 

良くも悪くも、日本は様々な分野で日米同盟無しには成り立ちません。

「米国の支えがないと倒れちゃう!」という分野で、少しずつ自立する部分を増やしていくことは大切です。

一方で、協調して増強できる分野は手を携えてやっていくことが得策です。

そのことをしっかりわかってトランプUSAと向き合っていく必要があると思います。

 

おわりに

いかがでしたか?

以上が、大統領選を見た1日の終わりに思ったことでした。

雑記なのでリンクなど無しです。

 

あ、途中出てきた、エマニュエル・トッド氏の言葉については、

詳しくは書いていませんが、先日行った朝日地球会議2016で聴いた話から、

挙げています。よろしければこちらの記事もどうぞ。

hoppingnaranja.hatenablog.com

 

正直、期待よりは不安が大きいです。

ただ民主主義への失望はありません。

というのも、民主主義が完璧な政治制度ではないことはよく知っているからです。

(研究テーマだったので…)

ワインのことばかり考えてるんじゃないですよ。笑

 

今後の世界情勢、興味深く、そして注意深く見ていきたいですね。

では!

 

 

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