跳ねる柑橘の段ボール箱

柑橘系アラサー男子が、思うところを書くところ

朝日地球会議2016に参加してきました(その1)

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こんにちは、跳ねる柑橘です。

 

10月2日、3日と、朝日新聞社主催のシンポジウム、朝日地球会議2016に出席してきました。

学生時代の人脈のおかげで、招待者としての参加です。

聞いてきた感想を、つらつらと書いてみます。

全2回の予定です。

 

(目次)

 

 

 

 

朝日地球会議とは

朝日地球会議とは、名前に「朝日」とあるように、

朝日新聞社が主催するシンポジウムです。

2008年から毎年「朝日地球環境フォーラム」を開催していたのを、

模様替えと言っていましたが、看板の掛け替えには、

地球環境がメインイシューだったものから、視野を広げる意図があったようです。

詳細はこちらをどうぞ。

朝日地球会議2016|朝日新聞

 

一般チケットは結構な倍率だったそうです。

総席数がわかりませんが、6000通以上の応募だったとか。

私は本当に周囲に優秀な人に恵まれていて、

今回は学生時代の人脈から招待者として参加しました。

素晴らしい人達と出会えて本当に幸運なのですが、

彼らの優秀さを自分のものと錯覚してしまいそうなのが怖いです。笑

 

主催者側も常々言っていましたが、出席者の年齢層が様々でした。

小学生もいたそうですが、私自身も中学生・高校生の出席者を見ました。

あとは20代後半から70代くらいの方(見た目)まで。

 

日程は10/2〜10/4の3日間で、私が参加したのは初日と2日目です。

3日目はですね、仕事がね…休めなくて…AIも聴きたかった。

 

私が聴講したプログラム

私が参加、聴講プログラムは以下になります。

<1日目:10月2日(日)>

●次世代リーダーに聞く!10年後の農業、2021年の東北、22世紀の日本に向かって

衆議院議員 小泉進次郎

ハフィントンポスト日本版編集長 竹下隆一郎

●次世代リーダーに聞く!教育IT化で授業が変わる、先生も変わる

フューチャーインスティテュート代表取締役 為田裕行

凸版印刷 菊地尚樹

慶応義塾大学准教授 中室牧子

 

<2日目:10月3日(月)>

●主催者あいさつ(途中から…)

●来賓あいさつ

キャロライン・ケネディ駐日米国大使

●持続可能な環境とビジネス 低炭素経済に向けたグリーン投資

OECD事務次長 玉木林太郎

グローバリズムの危機

人類学者・歴史学者 エマニュエル・トッド

●パネル討論 いま、地球で起きていること

前駐米大使 藤崎一郎

認定NPO法人カタリバ代表理事 今村久美

千葉大学教授 神里達博

エマニュエル・トッド

スペシャトーク サッカーボールが未来を照らす-FCバルセロナの挑戦

サッカー日本代表 ガンバ大阪ユース監督 宮本恒靖

FCバルセロナ副会長 ジョルディ・カルドネル

 

今回は、10/2で参加したプログラムについて感想を書いていきます。

10/3についてはまた別に書きます。

 

【次世代リーダーに聞く!10年後の農業、2021年の東北、22世紀の日本に向かって】

最初に聴いたのは、いま最も熱い政治家の一人、衆議院議員小泉進次郎さんと、

エスタブリッシュメント御用達(?)ネットメディアであるハフィントンポストの

日本版編集長、竹下隆一郎さんの講演です。

講演となっていましたが、実態はトークセッションでした。

小泉代議士も若手政治家で双方向コミュニケーションを重視しているようでしたし、

ハフポの竹下さんは流石ネットメディア編集長、Twitterを使って質問を受け付けるなど、

お二人だけでなくオーディエンスを巻き込んだ、

活発なトークセッションになっていました。

 

また、Periscopeで生中継もしていたようです。

こちらで見ることができます。

www.periscope.tv

 

議題は、小泉代議士が自民党農林部会長ということ、

そしてまさに次世代リーダーでもあることから、

農業について、そして次世代を見据えて東北と次世紀の日本についてでした。

 

全部気になるという方は上の動画を見て頂いて、

ここでは印象に残った点を書きますね。

 

農協を一個体の敵と見なしているわけではなく、賛否混じり合うのが当然の議論をして問題を一つずつ進めている。

農家、農協、メーカーが互いに甘えきった関係性で続けてきたのが日本農業。そこに経営の感覚を入れていかないといけない。

議論の中での対立は当然のこととして、

あくまでも協調していくことを大前提にしている、ということを強調していました。

 

日本社会は人口減が問題。だが明日突然出生率が1.8に跳ね上がったとしても人口減は避けられない。であれば、人口が減っていっても、自信を持って楽観できる国づくりを志向していくべき。

これは次の記事で書きますエマニュエル・トッド氏の指摘と合わせると、

非常に興味深く面白い論調です。

 

いままでの日本農業は購入先のほとんどが国内、つまり内向きの産業だったが、人口減、つまり胃袋の総量が減っていく今後を見据えて、輸出の割合も増やしていくように転換しなくてはならない。

農産物輸出のトップはアメリカ、2位はオランダだそうです。

チュ、チューリップか…?あとは酪農品かな…?(なお日本は60位)

第一次産業GDP額で見ると日本は10位だそうで、

額面だけで見ると国外にも消費者を増やすべき=輸出志向を強めるべきという論は

理解できますね。品目なども見ないと何とも言えませんが。

 

就農のあり方の多様化

農家になる、農家を継ぐ以外の、農業従事の選択肢があるべき。

大企業(イオンやローソン)の農業参入を奨励していきたい。

 

小泉代議士の論調には一貫して、

日本農業には経済観念、経営理念というものが欠如していた、

今後はグローバル社会の中で生存していく経営感覚を取り入れた構造が必要、

という主張が含まれていました。

次世代リーダー急先鋒である彼の主張が、

2日目に登壇したトッド氏の

グローバリズムは終焉に向かっている」「国家への回帰が生じている」

ホモ・エコノミクス(経済至上主義人間)が最も良いとされた時代は終わりつつある」

「日本社会の唯一で最大の問題点は人口減少にある」

といった主張と一見ぶつかり合っている、これは非常に興味深いものでした。

 

質問者の中には、実家の農地で無農薬で作物を育てているという女子高校生や、

実家が農家の大学生などもいました。

若い世代に農業への関心が高まっていると報道もあります。

質問していた彼らは実家が農家である、いわば当事者ではありましたが、

農業界の構造に対する変革意識を持っていることに、

感心というか、良いフィーリングを持ちました。

 

さて、東北復興、そして22世紀の日本について、というテーマに移った時には、

それまでは次世代リーダー小泉進次郎という姿勢を感じられたんですが、

どこか具体性に欠けた、従来の政治家の言葉のように感じられてしまったのが残念でした。

 

何をしても人口は減っていく。毎年人口減を告げるニュースに嘆くのではなく、減っても大丈夫な、自信と楽観を持てる国を作るべき。

 

この考え方は、内容如何では良いものだと思えます。

経済規模は中長期的に見れば人口規模に比例します。

高度成長期〜現代の規模の経済を維持するのは、

IT、AIの力を使うだけでなく、人口減を食い止めないと不可能でしょう。

2100年には日本人口は5000万人になる試算があるようですが、

今後の日本の社会づくりは、

このような下げ止まるメドとなる人口規模に見合った経済規模で納得するか

そこまででないにせよ、減った人口とIT、AI技術で効率化された産業を活用して、

スマートな社会を確立するか…になると思います。

 

聞いていて一番残念だったのが、自信と楽観できる国を目指すとして、

その自信を持てる根拠、楽観できる根拠に何を持ってくるのかが、

話の中では見えてこなかったことです。

これが今までの政治家と変わらないように感じてしまったところ。

 

よそ者の力とそこにいる人の力を相乗させることが、この先すごく重要になってくる

 これを、どう行うのか。

移民は有能で熱意のある人ならwelcomeだ。

当然なんですけどね。単純労働者としての移民ではなくて、

有能な知能を輸入するという意味での移民であれば、

そんなの先進国の政治家や企業家は皆思っていること。

その枠組みが全然まだ未完成、不十分だということを、

認めていることは良いんですが、どうするんだろう、と思いましたね。

政策を主張する場ではなかったですが、

「こうしようよ」とメッセージを発する場ではあったと思うんで。

 

また、よそ者=外国人だけではなくて、例えば他県の人が移住する、

そういうよそ者が働きやすい支援のやり方って、

どれくらい有効にいま行われているんだろう?と。

「町おこし協力隊」も成功事例と同じかそれ以上くらい失敗例を聞きます。

これはまだあいまいにしか言えないことなので、

もう少し調べてから記事に出来たらいいなと思います。

 

また、このセクションでの質疑ですが、会場やTwitterであがった質問には、

若者(中高大生や20代社会人)から

「なんだかんだ言っても、私は将来が不安です」

というものが多かったです。

年金はちゃんと払われるの?

子育てに不安がある

社会の先行きが暗く感じる

 

その中で、政策レベルでもある程度具体的なビジョンを見せてくれたのは、

子育て支援について、でした。

実は、この質問をしたのは私です。笑

 

現在、第三子への支援の枠組み作りが進められています。

それに対して、小泉代議士は第一子から支援すべきだという考えを見せていました。

私は、人口が減っていくのはしょうがないと受け入れるにしても、

人口減の中で日本が健全、それこそ国民が自信と楽観を感じられる国になるためには、

子育て、教育への支援が必須だと思います。

乱暴な言い方をすると、

少ない人的資源をいかに良質なものにするかの努力を国はしなければいけない、

と思うのです。

小泉代議士がどれくらい子育て支援に対して有効な政策を作っていけるのか、

私にはわかりませんが、この点では同じ考えだなと思いました。

 

【次世代リーダーに聞く!教育IT化で授業が変わる、先生も変わる】

続いて、教育現場にICT技術を導入する流れについて関心があったので、

これを聴いてきました。

登壇者は、

フューチャーインスティテュート代表取締役 為田裕行さん

凸版印刷 菊地尚樹さん

慶応義塾大学准教授 中室牧子さん

です。

 

為田さんが概論をお話しされ、

菊地さんは凸版が開発したタブレットの教材アプリについて、

そして中室先生はそのアプリを用いて研究をしていて、

それぞれが話された、という流れでした。

 

生徒が一人一台のタブレット端末を持って授業を受けるようになったら?

を命題にした講演です。

今回は、凸版さんのアプリを用いた事例で話されていました。

このアプリは、大量のドリル学習の問題をインプットしてあり、

それを使用する生徒の回答などから理解度を読み取って出題傾向を変えて、

この生徒はどこがわかっていないのかなども導き出す、というものでした。

 

では、これも、印象に残ったものを書いていきます。

 まず為田さんが冒頭に出された、

教育IT化は魔法の杖ではない

というのがまず納得の言葉でした。

何でもかんでもデジタル教材にすりゃいいもんじゃない、ってことです。

会場のブースで展示に触れてきたのですが、

その際に算数ドリルや漢字ドリル、

英単語や理科社会科目の用語の勉強などには適しているけど、

「このときの太郎の気持ちを30字以内で書け」

みたいな問題には適さないぞ、ということは凸版さんも認めていて、

先生による従来の授業学習と組み合わせることで相互補完が可能なんだ、

ということを仰っていました。

この前提をしっかり立ててくれることで、

ICT技術を魔法の様にうたうことにアヤシサを感じてしまう私は、

まず安心してその後の講演を聴くことが出来ました。

 

次に中室先生の、

旧来の教育現場の研究や政策会議には科学的根拠(エビデンス)が欠落していた。

という指摘。

有識者会議では、まだまだ地位と年齢の高い男性有識者

「私の経験では〜」といって話が進むと仰っていました。

これもある意味で偏見なんじゃないの?と思いつつも、

まあでも…多分そんなものなんでしょうね。

つまりは定性的な議論が主だったのかもしれません。

教育現場のすべてのことを数値化することはできないかもしれないが、

定量的な研究は教育現場の課題の一部に対して、より普遍的な解を導けるはずだ、

というのはさすが教育経済学者の言葉ですね。

思い切り定性研究をしていた私には若干耳が痛い話です。

 

そして、

子どもの学力・学習と家庭・親の貧困とに因果関係がある

と冷酷にも言い切っていることに、

うわーおと思いつつも、よく言い切った!という思いもありました。

 

どうあがいても、美談たる事例があったとしても、

大多数の、いわゆる貧困とされる家庭状況が、子どもの学力・学習、

特に学習に向かう意欲などに影響していないはずがない。

それをごくごく少数の例外事項である美談で覆い隠していいはずがない。

そういった、うっすら持っていた思いを、

中室先生の定量的な研究がはっきり指摘してくれた、と思います。

 

ただ、冷酷な現実を突きつけるだけでなく、

今回凸版さんが開発していたアプリで家庭学習をすることで、

意欲向上につなげられるのでは?というニュアンスも、

中室さんというよりはむしろ菊地さんや為田さんの言葉からですが、感じました。

 

あと、この講演と展示ブースで実は一番印象に強く残っていることは、

ブースで名前も忘れてしまった凸版の社員さんの言葉で、

 

このアプリの使い方として、例えば僻地の学校で、小学校低・中・高学年プラス中学生が、同じ教室で学んでいるというケースがある。

その時、例えば小学校低・中学年生に先生が教える時間には、高学年生と中学生にはアプリでドリル学習をしていてもらう。

というような使い方もできると思います。

 

というもの。

なるほど、ICT技術の活用は、

本当に相互補完の関係で活用していくべきだな、と感じたわけです。

普通の学校での使用例がニュースや情報番組などで取り上げられますが、

教育問題の中で一番見過ごされがちだけども差し迫ったものである、

僻地の教育という問題にも目を向けていること、

これは良い点だと思います。

 

課題としては、

社会実験、特に公立学校をフィールドとした社会実験のため、

どれくらい有意性の有る期間で実験が出来るんだろう、

といった、実験そのものの可否への不安でしょうか。

また、この研究結果がどう政策に反映されるんだろうかが、

全くイメージが見えない、そんな教育行政にも不安が残ります。

 

まとめ

特に小泉進次郎さんのお話は、発信者として勉強になることが滅茶苦茶たくさんありました。
私の主観はいらんので会議の内容を詳しく!という方は、朝日新聞のサイトを是非ご覧ください。

朝日地球会議2016に関するトピックス:朝日新聞デジタル

 

こないだまで酒がなんだスペイン語がどうだとか言っといて、いきなりなんだこれ!と思う人もいるかもしれませんが、こういうところにも時々顔を出している人間なので、今後もこういった発信をできたらなと思います。

次は、2日目の内容を、引き続き私の感想を交えお伝えします。

 

では!

 

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